春になると筍掘りに出かけたいけれど、『腰を痛めそうで不安』『中腰作業がつらい』そう感じたことはありませんか?実は筍掘りは、やり方を間違えると腰を壊しやすい一方で、正しい姿勢と道具を使えば、自然の中でできる安全な全身運動にもなります。この記事では、兼業農家として毎年筍を掘っている経験から、腰を守りながら山の恵みを食材として活かす具体的なコツを紹介します。
なぜ筍掘りで腰を痛めやすいのか
中腰・前傾姿勢が続く
いたしかたないのですが、細かく掘ろうとする時は特に中腰や前傾姿勢になりやすいです。あまりにも長くなるようなら子供用のスコップでやった方がいいですね。
重たい鍬・スコップ
工事現場で使われるような重たい鍬は腰をいためるのでやめましょう。固い土もかく必要があるので、そこそこの重さも必要ですが、1本の筍で何回もかく必要があるので、自分で何回も振って腰にこなさそうなものを使うのがいいです。
無意識に腰だけで持ち上げている
急いでいると腰だけで持ち上げてしまいます。更に腰に力を入れて鍬を振り下ろしてしまうと、地面の竹の根に鍬の先端が当たった瞬間に腰に振動が伝わってきてしまい腰への負担は倍増します。
腰を痛めない筍掘りの基本姿勢
腰ではなく『脚と体重移動』を使う
腕にはそこそこの鍬の重さがかかるので、前のめりになりがちになり胸・腕と腰交互に負荷が加わる偏った状態になりがちですが、これを脚と体重移動を使って掘るようにします。

身体の動かし方のイメージ
背中の筋肉で持ち上げるイメージで鍬を持ち上げ、同時に体重を後ろ脚に一瞬傾けます。

それから腕と胸の筋肉のみに頼るのではなく、背中の筋肉を使い振り下ろす感覚で振り下ろします。
掘る前に筍の向きを読む
まっすぐに伸びているとは限りません。地中でかなり曲がっていることはしょっちゅうなので、最初は少づつ掘り進めながらその向きを見極める必要があります。しかし、腰痛持ちの方は途中から切ってしまうことは覚悟の上で掘る前に筍の向きを読むしかありません。掘られた近くの筍の様子はどうだったのか、傾斜地等では同じ状況はどんな方向で生えていたことが多かったのかを思い出しながら掘ります。
実は筍掘りは『安全な筋トレ』になる
使われる筋肉(太もも・背中・体幹)
前傾ではなく、みぞおちの下の丹田を軸に体幹を整え、太ももの筋肉で体重を前後に動かしながら背中の筋肉を使うイメージで鍬を持ち上げ、打ち下ろします。
ジムに行かなくても自然で鍛えられる理由
鍬という重いものを持ち上げないと始まらない作業のため、背中中心に筋肉が鍛わります。注意したい傾斜の上から下に打ち下ろす際は、鍬先端の重みで打ち下ろすイメージで腰の負担軽減を心がけます。
山の自然を”身体を壊さず”食材に変える考え方
こうして竹林の風景が維持されているのも、先祖の並みならぬ努力があってのことです。仮に整備されていなかったとしたら、竹林はいたるところに竹が倒れ、筍掘り前に害獣のイノシシに筍を食べつくされていたことでしょう。

無理しない
竹林は、過密にならないよう、最低でも傘をさして通れるくらいの間隔を空けての間引きが必要です。でもだからといって焦るのは禁物で、何日、何年もかけて無理しない数採り続ければいいんです。
まとめてやらない
シーズン中こまめにチェックして”採り続ければ”自ずと適度な間隔で間引きされた状態になっていきます。伸びすぎたのがあっても切り倒せば済む話なので、腰のためにも無理してまとめて採ろうとしてはいけません。
『今日は2本で十分』という発想
腰に負担をかけない意味でも、食べる量としても1日2本という数が適度です。ついでに採れてしまうなら別ですが、ベストは2本くらい、くらいに思っておいた方がいいでしょう。
こんな人におすすめ
腰痛が気にならない中高年
正直、腰をかばいながらやろうとすると、体幹も整わない無理な姿勢で偏った力をかけがちになるので、おすすめしません。腰痛持ちでない中高年の方には筋肉を鍛えるよい機会になるのでおすすめです。
家庭菜園・山菜採りが好き
自らの身体を動かして採れたものを調理して食べることに喜びを感じる方におすすめです。
健康のために自然に身体を動かしたい人
健康のため山登りに楽しみを感じる方等は、同様に斜面の多い竹林での筍掘りは楽しめるかと思います。
実際に視力と足裏を活かす筍探知からスタート!
まず、筍を発見するには、見て探すのと、地面を踏みしめながら探す2種類の方法があります。無くしたものを探すのは気がおっくうになりますが、収穫するために探すのは気分もワクワクします。前述の通り何も整備されていなかったら竹の倒木で足の踏み場もない状態かつ、地面は竹の根が所せましと地中を這いずり回ったせいで、足で踏んで感触を確かめることもできませんが、地面も整備されている時短効果のおかげで、柔らかな土の中でニョッキリと出た筍の頭を足の間隔のみで発見することができます。

やったー!見つけました。この気分の高揚は何歳になっても変わりません。先端がこのように小鳥のくちばしのように小さく黄色くなっているのは、身も柔らかいです。

身体の筋肉を総動員して掘る
次に、見つけたら、周りを鍬で掘り、赤いブツブツが見えた辺りで切り落とします。この時、傾斜の場合筍の位置は腰の高さから高すぎても低すぎてもだめです。できる限り自分の腰を活かせる作業位置になるよう、負担にならない位置を探して目線を目安に場所に応じ体勢を変えれるようにできたらベストです。

特に、雨の降った後は成長が早いので、昨日出てなくても今日出てる、なんてことはよくあります。しかし、自分一人で採ろうと思ってはいけません。

やはり、大人の身体(腰)を守るため、時には”やらない選択”をすることも大切です。そこで、合間合間で低い位置の作業に対応できる小学6年生の息子に収穫を手伝ってもらいました。

子供は、発見することに喜びを感じているようで、大人達より先に筍を見つけてやろうと、目を皿のようにして探し足でも地面を必死にさすって回ります。すると、おやっ!?筍らしきものを発見したようです。答え合わせといきましょう。

小さな筍ですが、取れました。これがこの子の楽しさ、自信になってくれたらこの上ない喜びです。

しかも、収穫するまでによく動きました。よしよし、脳も筋肉も鍛えられて良いことだぞ!
収穫した筍を食べる
そして、収穫後は採れたての筍を味わうのも醍醐味ですね。
頑張った筍掘りの成果がこのような、筍が罪悪感一切なしのメニューに変身しました。こちらは、筍の味噌汁と刺身です。

ポイントは自家製の味噌を付けるところです。新鮮な状態ならではの料理で、格別でした。
まとめ
筋肉を活かして収穫したものを数日中に食べれる筍掘りは楽しみながら持続的な山の管理ができるご先祖から引き継いだ有意義な山の活用法です。それを腰のみに負担をかけるのではなく、各筋肉に刺激を与えるよう全身を動かし、家族も総動員することで、負担を分散することで時短化して筍掘りができます。ここで言う時短とは、速くやることではなく”壊れないことです。


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